人手不足による機会損失

 日本経済新聞らの試算によれば、人手不足で生じた機会損失の規模は年16兆円にも達しています。過去5年で4倍に増え、名目GDPの2.6%に達しています。最新の2022年度の県民経済計算でみると、茨城県の14兆円を上回り、人口350万人、自動車などの産業が集積する静岡の18兆円の総生産に迫る規模となっています。

 人手不足で事業を維持できない企業には、人手不足倒産のリスクがはらんでいます。東京商工リサーチによれば、2024年度に求人難などを原因とする倒産は、前年度比6割増の309件で過去最多となっています。新政権は積極財政を掲げていますが、需要を喚起するだけでは経済は回りません。労働生産性の改善など多様な政策が必要となります。

 日本生産性本部によれば、2023年の日本の時間当たり生産性は56.8ドル(約8,700円)で、OECD加盟38カ国中29位です。G7中最低で米国やドイツの6割、OECD平均の8割に低迷しています。デジタル化の遅れなどが影響しており、ソフトウエア投資の拡大などが喫緊の課題です。生産性向上がなければ、人手不足は進み、縮小均衡に拍車をかけることになります。

(2025年11月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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