2025年の75歳以上人口は推計2,155万人です。わずか5年で295万人も増えました。1947~49年生まれの団塊の世代全員が75歳に到達したからです。75歳以上になると要介護リスクが高まるとされ、介護予備軍の急増に介護サービスは足りるのかいわゆる2025年問題が指摘されています。
2023年度の介護職員は212万6,000人で、前年度より2万9,000人減りました。介護保険制度が2000年度に始まって以来、初の減少です。今後も介護需要は増え、厚生労働省は2040年度に272万人の介護職員が必要だと推計しています。直近の採用・離職動向を基に試算しても211万人しか確保できていません。福井県以外の46都道府県は必要数を満たせません。
介護職員の給料を増やそうと、国は処遇改善に予算を繰り返し割いています。人材確保のために就労環境の改善にも知恵を絞っています。介護労働安定センターの介護労働実態調査によれば、外国人材を受け入れている事業所は13.4%にとどまります。国も政策で後押ししています。2019年度に始まった特定技能制度に基づき、介護分野で働く外国人は2024年12月末で4.4万人に上ります。
労働力不足は日本の構造的な問題です。処遇改善などで人材を奪い合っても根本的な解決にはなりません。介護分野はロボットやICTの導入が遅れています。続けるべき対人ケアは残しつつ、代替できる業務はロボットやICTの導入で効率化しないと、人材不足は解決できません。

(2025年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)