国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、出生率や死亡率が中程度で推移した場合、2050年時点の100歳以上人口は46.7万人と、2023年時点の約5倍に増えます。中心は1947~1949年生まれの団塊世代です。1948年10月~1949年9月生まれは、2023年時点で約200万人もおり、このうち8%の16.6万人が100歳を迎えると予測されています。
健康寿命も延びます。三菱総合研究所は2025年時点の75.1歳から2050年は80歳になるとしています。平均寿命との差である不健康期間は1.3年縮まりQOLを保って天寿を全うすることができるようになります。背景には医療技術の進歩があります。老化現象を抑える抗老化ワクチンの開発が進み、がん対策も遺伝情報を基に最適な薬や治療法を選ぶ個別化医療が広がるとみられます。
問題は医療費です。内閣府は、2050年の1人当たりの平均医療費を2019年に比べ22%増の40万1,000円と試算しています。先端技術を駆使した高額な新薬や治療が広がれば費用はさらに膨らみます。高齢者1人を支える現役世代の人数は、1960年の11.2人から2020年は2.1人に減少します。2050年には1.4人になり、医療財政の悪化が見込まれます。
健康に生きるには社会の中で何らかの役割を持って生きる貢献寿命を延ばすことが大切になります。
(2024年7月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)