100年先までの年金の財政状況をチェックする定期券健診で、女性や高齢者で就労する人が想定を超えて増え、見通しは改善しているとしています。若い世代ほど、給付が手厚い厚生年金の加入が進んでいます。しかし、物価を上回る実質賃金の上昇については楽観を許さない状況です。
見通しの良い方から2番目の成長型経済移行・継続ケースを含めて、将来の年金水準が改善しています。この5年間で、見通しよりも厚生年金の加入者が約260万人、年金の積立金が約70兆円それぞれ増えたこともプラスに影響しています。しかし、いずれのケースも、出生数が計算の仮定よりも減った場合は、給付水準は悪化します。労働参加が進まず経済成長がこれまでと同じ③の過去30年投影ケースでも、1994年度生まれ、2004年度生まれともに3割弱が15万~20万円を受け取れます。
特に女性は改善が顕著です。②、③ともに1959年度生まれの人の月額平均は9.3万円ですが、1994年度生まれは②で16.4万円、③でも10.7万円まで上昇します。さらに、2004年度生まれは、②で19.8万円、③で11.6万円まで増えています。就労拡大は年金制度を維持する上で大事な要素の一つとなっています。
(2024年7月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)