再生医療の規制緩和

 病気やけがで損なわれた身体機能を回復させる再生医療向けの薬を日本で開発する動きが活発になってきています。昨秋の再生医療の規制緩和で世界で最も早く実用化できるようになりそうです。従来の医薬品と医療機器とは別に、再生医療製品の区分が新たに設けられています。再生医療の薬は人の細胞からつくられます。今回の規制緩和で、従来実用化に7年程度かかっていたのが、大幅に短縮されることになります。実用化で先行する欧米でも同程度かかりますが、日本では早ければ23年程度で市販できることになります。

 日本はiPS細胞の発見など基礎研究の水準は高いと言われていますが、これまで再生医療の薬の実用化では後手に回っていました。現在わが国で承認されているのは、富士フィルムの子会社が発売する人工皮膚と人工軟骨の2品目にとどまっています。一方、海外では、2012年時点で欧州で20品目、韓国で14品目、米国で9品目が製品化されています。今回の規制緩和により、効能があると推定できた段階で、条件付きで市販を認める仕組みができたことは大変良いことです。また再生医療に使う細胞の培養も企業でも受託できるようになり、量産の道が開かれています。

(2014年1月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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