厚生労働省は、2018年1月に副業を原則容認しました。企業の就業規則のひな型となるモデル就業規則を改定し、労働者の副業を原則禁止する規定を削除しました。副業は収入の増加だけでなく、本業とは別の仕事をすることで新たな知見やスキルを得られる利点があります。企業側は社員の労働時間の管理などで注意が必要ですが、副業を通じた本業との相乗効果が期待できます。
副業元年とされる2018年から6年が経ち、社員と企業の間では副業への温度差も生じています。パーソル総合研究所の調査によれば、2023年の企業の副業容認率は60.9%で、2018年から10.0ポイント上昇しています。一方、2023年の正社員の副業実施率は、2018年比3.7ポイント低下の7.0%でした。副業人材を受け入れる企業がまだ少ないほか、新型コロナウイルス禍が収束して本業が忙しくなった人が増えています。
副業の実施率は年代によっても差があります。2023年の正社員の副業実施率は、20代が8.9%で最も高く、30代の8.8%、40代の6.5%と続いています。50代は20代のほぼ半分の4.5%にとどまっています。ミドルシニアの副業は労働者だけでなく、受け入れ企業も含めて参考となるモデルケースが少ないと思われます。ミドルシニアの副業の活性化には、迎え入れる側の企業は外部人材を受け入れる社風をつくる必要があります。
(2024年7月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)