加齢黄斑変性の治療

加齢黄斑変性は50歳以上の約1%にみられ、失明原因の4位の病気である。網膜の組織に不要な血管が入り込み、黄斑部が変性を起こす。男性の方が女性に比べ、3倍多く発症し、加齢、喫煙、高血圧などが発症要因と考えらえている。理化学研究所が加齢黄斑変性の70代女性の細胞から作ったiPS細胞を網膜の細胞に分化させ、シート状にした組織を女性の右目に移植した。今回の研究ではiPS細胞が移植されただけであり、安全性の検証がまったくなされておらず、数年間の定期的検診により初めて成功か否かの評価がなされる。

 米国ではこの病気にES細胞を使った臨床研究がなされている。ES細胞から分化させた細胞を18人の網膜に移植している。がん化や細胞の異常増殖が起きた人はこれまでおらず、長い人では37カ月になるという。患者の半数以上は視力が回復しているとしている。一般にES細胞を移植しても免疫拒絶がおこり、移植した細胞は生着しないが、眼の領域は免疫拒絶が起こりにくく、免疫抑制剤の使用は短期間で済むと考えられている。

(2014年10月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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