全国の医師数は約34万人と過去40年間で2倍に増えていますが、都市部に集中し、地方で不足しています。特に産婦人科や小児科、外科などはなり手が少なく、人口よりも医師数の減少ペースが速く、医療提供体制の維持が困難な地域が出ています。
人口10万人に対する医師数をベースに、医師の労働時間などを調整した医師偏在指標によれば、都道府県別では全国平均が255.6であるのに対し、首位の東京都が353.9と突出して高くなっています。医師少数県は東北地方に多く、最下位の岩手県の182.5は東京と2倍の開きがあります。地方では医師が医療提供体制に支障が出ないよう、私生活を犠牲にしているケースが少なくありません。
厚生労働省は、地方の医師不足対策として、医師の勤務手当を上乗せする方針を示しています。休日に代理出勤する医師の確保にも取り組み、財源として保険料を活用する案を提起しています。財務省も同様の案を提起しており、診療所が足りない地域では単価を上げて、過剰な地域では下げるといった考え方を示しています。
(2024年11月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)