医療機器の輸入超過

 人口の増大や高齢化を背景に世界の医療機器市場は拡大が続いています。米調査会社のBMIによれば、世界の医療機器市場は2028年に6,927億ドル(約100兆円)と2023年比3割増える見通しです。しかし、日本の医療機器メーカーは劣勢です。厚生労働省によれば、2023年の医療機器は約2兆2,000億円の輸入超過となっています。1990年は約11億円の輸出超過でした。

 医療機器の供給網を強化しようと、国や地方自治体は、医療機器メーカーとのマッチングや助成金を通じて中小企業の参入を後押ししています。中小企業は経営者の決断次第で、時間をかけて開発に取り組むこともできます。中小の医療機器への参入が進めば、国内の医療機器産業の基盤強化につながります。

 海外の医療機器メーカーが、日本の中小企業の技術力に注目しています。展示会などで新規取引を持ちかけられた中小が、その後着実に受注を増やしていくケースが目立っています。海外メーカーは、過去の実績よりも今の技術力を評価する傾向が強く、日本の中小にとってチャンスは大きくなっています。

(2025年7月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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