こども家庭庁成育局母子保健課は、令和8年度に「卵子凍結による妊孕性温存等に係る課題検証のためのモデル事業」を開始するために、10億円の概算要求をしています。事業は、①卵子凍結に関する正しい知識の普及啓発と②卵子凍結による妊孕性温存のためのモデル事業からになります。モデル事業では、卵子凍結にかかる費用を上限20万円×1回、早期卵巣不全の患者の血清AMH検査費用を助成します。実施主体は、10自治体程度を想定しており、国が2分の1、都道府県が2分の1負担します。
東京都では少子化対策の一環として、2023年9月より卵子凍結に係る助成として、卵子凍結に関する費用に対して1人あたり最大30万円を受け取ることができます。女性の社会進出などを背景に、晩婚化や晩産化が進む中、女性の将来の妊孕性を温存するための卵子凍結が欧米でも盛んに実施されています。このような医学的適応でない卵子の凍結に対して、個人に対して卵子凍結にかかる費用を負担している企業も増えてきています。
欧米では、10年以上も前から卵子凍結の実績があり、そのデータも蓄積されてきております。それによれば、女性の年齢が35歳以上の高齢者が大半を占めており、卵子1個あたりの妊娠率・出生率が低率であることが示されています。さらに、最大の問題点は、将来凍結しておいた卵子がほとんど使用されていないことです。卵子の凍結に税金を投入しても、実際に妊孕性温存につながるかどうかは不明なままです。卵子凍結の支援については、まずモデル事業によって、有用性の検証を行うことは大切です。
(こども家庭庁HPより)
(吉村 やすのり)







