政府が、国家戦略特区でさまざまな分野の規制緩和策を打ち出している。特区内であれば、医師資格のない企業経営者なども医療法人理事長に就きやすくなる。医療法人トップの要件緩和は、経営の効率化により医療費の拡大ペースを抑えるような効果を狙っている。わが国においては医療法人で理事長が医師ではない団体は1%に満たない。
人手不足に対応し、女性や高齢者、外国人の就労支援を強化する。また家事を支援する外国人(ベビーシッター)の在留解禁は、女性の社会進出を後押しする狙いもある。さらに保育サービスや地域づくりなど社会に役立つ事業を担う組織を増やし、雇用を拡大させるためにNPO法人の設立手続きを簡単にし、起業の促進も盛り込んでいる。日本医療制度の見直し、労働人口の確保などこうした特区における規制緩和は、わが国の将来の構造改革に一石を投じるかもしれない。
(2014年10月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)