女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本政府に対する勧告を含む最終見解を公表しています。選択的夫婦別姓の導入や、個人通報制度を定めた選択議定書の批准を求めたほか、男系男子が皇位を継承することを定める皇室典範の改正を勧告しています。
最終見解では、前回2016年の勧告以降の結婚年齢の格差解消や、女性の再婚禁止期間廃止を実現する法改正などを評価する一方、幅広い分野で改善を勧告しています。委員会は2003年、2009年、2016年と過去3度、夫婦同姓を定める民法改正の必要性を指摘しています。また、中絶に配偶者の同意が必要だとしている母体保護法の要件削除を求めています。
男系の男子のみの皇位継承を認めることは、条約の目的や趣旨に反すると考えると指摘しています。皇位継承における男女平等を保障するため、他国の事例を参照しながら改正するよう勧告しています。また、性的少数者の人権をめぐり、同性婚を認めること、昨秋の最高裁判決で違憲・無効となった性同一性障害特例法の生殖不能要件のもと不妊手術を受けた人への賠償を要請しています。
(2024年10月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)