現在、若者は地元で就職せず、東京に人材が一極集中し、地方の活力が失われている。政府は、2015年度から、地方に就職する大学生に学費を支援する制度を始める。卒業後に地方で一定期間働くことを条件に、自治体や企業と共同で奨学金の返済を減免するための基金をつくり、学生が地元に残るように促し、安倍政権の重点課題である地方創生につなげることを目的としている。
自治体と産業界が学費支援のための基金を共同でつくり、政府は基金を設けた自治体に対し、2015年度から地方交付税を上乗せして配ることにしている。自治体の拠出分の半分程度を交付税で補う案が有力である。支援を受けたい学生は奨学金を貸し付ける日本学生支援機構を通じて自治体に申し込む。自治体と地元産業界でどのような人材が地元に必要かを話し合い、支援する学生を決めることになる。就職先を選ぶのは個人の自由ではあるが、地方の衰退を防ぐには政策的な誘導が必要であり、強力に押し進めて頂きたい支援策である。
(2014年12月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)