大学進学率は5割を超す一方、就職率は低迷しています。大卒者が就いた仕事を雇用形態で見ると、非正規の割合が2割に達しています。政府内では、実践的な職業教育をする新しい学校制度をつくる動きが出てきています。就職後に職場で役立つ技能や知識を学校でどこまで教えられるのかといった課題も多いことも事実です。大学進学率は1980年代まで20%台半でしたが、90年代に入って一気に上昇しています。大きな理由は大学の新設ラッシュや定員拡大であり、全国の大学数は2014年に781校と90年比の1.5倍、学生数は286万人と同1.3倍に増えています。
大学進学率の影響はあるものの、卒業者に占める就職者の割合は、2014年時点で69.8%と、バブル期のピークを1割以上下回っています。深刻なのは卒業後に就く仕事の質です。大学卒業後の最初の仕事が非正規だった割合は、10~12年卒の場合、男性で20.6%、女性で23.1%にも達しています。大学を卒業しても、2割が非正規雇用であるというのは大きな問題です。男性が非正規雇用であると、結婚することなく未婚化が助長され、少子化に拍車がかかることになります。現在男性の生涯未婚率は20%、女性の場合は10%とされています。雇用の安定こそが、若者にとって子どもを持ちたいと考える原点であることを忘れてはなりません。
(2015年1月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)