経済産業省の大学発スタートアップ調査によれば、2023年度の社数は、2022年度比506社(13%)多い4,288社でした。増加数、社数ともに過去最多となっています。増加数では大阪大学が61社と首位で、北海道大学も大幅に増えるなど東京圏以外の躍進が目立っています。優れた研究成果の事業化が進めば、新産業や雇用の創出にも大きく貢献することが期待されています。
増加数の上位10位までをみると、非東京圏の大学の増加数(196社)が東京圏の増加数(176社)を上回りました。こうした地方大学発のスタートアップの増加は、地域経済などにとっても明るい材料です。合計社数は、前年度に続いて東京大学の420社が首位でした。2位は慶應義塾大学の291社で、京都大学の273社を抜いて順位を上げています。慶應義塾大学は人材サービスのビズリーチと連携し、経営プロ人材を外部から招く取り組みを進めています。
しかし、大学の研究成果を起業に結びつける取り組みは米国などに比べて見劣りしています。産学官の連携や、研究成果をビジネスとして軌道に乗せる工夫が一段と求められます。
(2024年5月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)