日本は世界と比べて、理系に進む女性が少なく、OECDの2019年の調査によれば、女性の大学入学者のうち、理工系に進んだ人は、わずか7%に過ぎません。保護者や周辺の女子は理系が苦手、女子は文系向きといった意識が影響しているとされています。
近年、研究開発などに女性の視点も必要だとして、理系の大学学部への進学を促す動きが広まっています。入試に女子枠を設ける国公立大は、2023年度入試で5校でしたが、2026年度入試では38校49学部に上っています。国立研究開発法人科学技術振興機構は、2006年度から女子の理系進学を支援する大学に1件あたり年間上限600万円を助成しています。
理系の女子を増やすには、周囲や本人が持つ男子の方が理系が得意という誤った固定観念を変える必要があります。しかし、都市部以外では、大学への進学率自体が男子に比べて女子は低く、地元に残りがちです。大学の少ない地域では、周りに目標とする大卒者が少なく、進学に伴い親元を離れるというハードルもあるためと考えられます。まずは、都市部の大学で女子枠を作るより、地方の大学で理系も含め学べる内容を増やすべきです。国も卒業後の進路に応じて学費を返金する学費の後払い制度を作るなど、大学進学を後押しする取り組みも必要となります。

(2025年10月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)