戦前、旧制大学への入学資格は、男子のみを受け入れる旧制高校卒業生に限られ、女子の進学の道はほとんど閉ざされていました。戦後の学制改革で男女共学が原則とされましたが、4年制大学への進学率は、1973年に初めて1割を超えたものの、男子の3分の1程度でした。1986年の男女雇用機会均等法施行以降、女性の社会進出が広がるにつれて、進学率は上昇しています。一方、短大の志願者数は減少に転じました。
2023年の進学率の差は、男子60.7%、女子54.5%まで縮小しています。しかし、難関国立大学とされる旧帝大7校では、学部学生に占める女子の割合は、東京大学が21.0%、京都大学が22.4%など、いずれも2~3割程度にとどまっています。全ての国立大学の合計でも、女子は4割弱です。英国の教育誌の調査によれば、英オックスフォード大学の女子学生比率は49%、米ハーバード大学は51%など、上位校の多くでほぼ半々です。
文部科学省の学校基本調査によれば、昨年度は徳島県以外の全ての都道府県で、男子の進学率が女子を上回っていました。しかし、東京と京都では、男女ともに7割以上の進学率なのに対し、東北や九州では3~4割と低く、地域差も大きくなっています。
東京大学は、遠方の女子の進学を支援するため、独自の家賃補助制度を設けています。都内の私大でも、地方出身者向けの給付型奨学金を備えるところが多くみられます。しかし、子どもの進学に対する親の投資意欲に男女差があるとも指摘されており、大学卒業後のキャリアにおける不平等を根本から変えていくことも求められます。
(2024年5月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)