女性アスリートは種目によっては、減量を強いられることによって無月経になることが多い。柔道やレスリング、長距離選手などにとって肥満は禁忌である。激しい減量の結果、無月経になると、女子ホルモンであるエストロゲンが減少し、骨塩量が低下し、骨折をしやすくなる。女性の骨量は思春期で決定され、骨量の増加は、13-14歳をピークとして20歳前後で止まる。そのため思春期の無月経は、将来に医学的に大きな問題を残す。
無月経が長期間続くと骨塩量の低下のみならず、卵巣機能も低下し、内服薬による排卵誘発剤にも反応しなくなり、妊娠するためにはゴナドトロピン製剤の注射などの大変な治療が必要となることが多い。しかし、将来子どもが産めない身体になることは少なく、適切な治療によって妊娠は可能であるので、むやみに恐怖を煽る必要はない。女性アスリートは10代から月経に対する正しい知識をもつことが大切であり、その健康管理には産婦人科医の協力が不可欠である。競技に適した月経スケジュールを立てることが必要で、競技のために将来が犠牲になることは論外である。
(女性の健康と思春期:吉村泰典)
(吉村 やすのり)