女性研究者の育成の必要性

内閣府によれば、2022年3月時点で日本の大学の入学者に占める女性の割合は、自然科学系の27%、工学系の16%、ともにOECD加盟国内で最下位です。デジタル分野にあたるICT系に限ると、上位国は女性が3割を占めています。日本ほど情報学を専攻する女性が極端に少ない国は珍しくなっています。
デジタル分野に限らず、女性の理系人材や研究者は足りていません。総務省の公表によれば、日本の女性研究者の比率は17.8%です。米国の33.4%やフランスの29.9%、ドイツの29.4%に10ポイント以上差を付けられています。数学や科学が苦手というアンコンシャスバイアスが、女性の理系進学を阻んでいます。
男性だけ、などといった均一的な集団からはイノベーションは生まれません。近年、女性の情報系学部への進学増をめざす大学が相次いでいます。東京大学など国立8校は、中高生向けに情報学の魅力を共同発信しています。学生がキャリア選択の参考にできるよう若手の女性研究者を採用する動きもあります。理系のなかでも情報学は女性が特に少ないとされ、デジタル人材の裾野を広げるために各大学が知恵を絞っています。

(2024年5月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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