日本では、管理職への就任は敬遠されがちで、特に女性は消極的です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングのアンケート調査によれば、課長相当以上の管理職を目指したいと答えた女性一般社員は、15.5%にとどまっています。男性一般社員の24.8%も大幅に下回っています。管理職になりたくない理由としては、男女とも、ストレスが増えるため、責任が増えるためと答えた人の割合が高くなっています。女性は、家庭との両立が難しいためとの回答が男性より多くなっています。
日本では、管理職になると幸福度は下がるとの研究もあります。日本家計パネル調査によれば、管理職への昇進で幸福度が高まるとは言えないことが分かっています。最近はハラスメントに注意する必要があるなど、管理職に求められる業務も増えています。報酬が見合っていないことが理由の一つです。特に女性管理職については、管理職になっても家事や育児の負担が変わらず、余暇時間の満足度が下がっており、時間的な制約が負担になっている可能性があります。
東京商工リサーチによれば、2023年3月期の日本の上場企業における女性管理職比率は、平均で9.4%でした。ゼロの企業も、1,706社中76社と4.4%あります。労働政策研究・研修機構の調査でも、2022年の日本の女性管理職比率は12.9%で、米国の41%には遠く及びません。厚生労働省は従業員301人以上の企業を対象に、女性管理職比率の公表を義務付ける調整に入っています。
(2024年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)