米デル・テクノロジーズが2023年に発表した女性起業家が育ちやすい都市ランキングによれば、ロンドンが1位、パリが4位と欧州勢が上位に並んでいます。東京は世界55都市中45位でした。5位に入ったストックホルムを首都に持つスウェーデンでは、起業家にも育休給付金が支給され、最大390日間、80%の収入を確保できます。男性も育児に積極的で自宅に早く帰るため、女性は情報収集で不利になりません。
しかし、欧州でも、資金調達額に占める女性創業者の比率は2割と伸び悩んでいます。こうしたベンチャーキャピタルに対し、資金提供する機関投資家が女性の意思決定者比率の引き上げを働きかける案が出ています。
日本は開業率が5%、廃業率が3%と10%前後の欧米諸国と比べ、企業の新陳代謝が遅れています。働き方は会社員、家事・育児は女性中心を前提にした国の仕組みや商慣習を改め、性別や子の有無にかかわらず、誰もが挑戦しやすい環境づくりを急ぐ必要があります。政府は、2027年度までの5カ年計画で、スタートアップ社数を2022年比10倍の10万社に増やす計画を掲げています。
(2024年5月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)