女性が妊娠・出産に至るためには子宮、卵管、卵巣はもちろんのこと、脳の視床下部や下垂体、腟といった様々な器官が正常に働くことが重要です。このような器官に問題があっても痛みや症状が出ない場合があります。なかなか妊娠しないと思ったらお近くの不妊専門医にパートナーと一緒にいくことをお勧めします。その際には、2~3か月記載した基礎体温を持っていくと診察がスムーズに進み、アドバイスも受けやすいと思います。
女性の不妊の原因は大きく分けると以下の通りです。
- 排卵がうまくいかない場合
無月経や不規則な月経の症状。基礎体温を記録するようにしましょう。基礎体温を測ると排卵がある女性であれば、二相性の変動を示します。これにより、排卵の有無や月経周期の長さ、体温の高い時期である高温期の長さなどがわかり、診察に役立ちます。排卵がない場合の治療としては、主に排卵誘発剤の飲み薬の処方や注射を行います。
2. 卵管に問題がある場合
卵管は精子や卵子などの配偶子や受精卵が移動する道です。卵管が詰まったり狭くなったりすると精子と卵子があうことができず、受精が起こらないため不妊の原因になりえます。また、卵管が感染症や子宮内膜症などにより周囲と癒着し、卵管の動きが制限されることと排卵した卵子がpick upもされなくなります。治療としては、卵管のつまりを解除するFTカテーテル手術、卵管周囲の癒着を剥離する腹腔鏡下手術があります。これらの手術で妊娠が期待できないときは、体外受精の治療が行われます。
3. 子宮に問題がある場合
子宮は受精卵である胚が着床し、胎児が発育するところです。ポリープや子宮筋腫があると胚が子宮内膜に着床するのを妨げます。また、流産手術を繰り返していると子宮内膜が癒着し、内膜が薄くなり妊娠しにくくなります。治療としては、子宮鏡下手術により、ポリープを切除したり、癒着剥離を行います。また腹腔鏡下手術により、筋腫を除去し、胚が着床しやすい環境をつくります。
(吉村 やすのり)