日本子宮移植研究会は、子宮がなくても出産を希望する女性に対する子宮移植の国内実施に向けた指針を作成する。その内容としては、適応を生まれつき子宮のない女性やがんなどの治療で子宮を摘出した女性とした。また子宮の提供者は、子宮移植を受ける母親や脳死の女性とした。また営利目的での子宮の売買やそのあっせんすることを禁止とした。子宮のない生殖年齢にある女性は数万人いるとされ、スウェーデンやトルコでは既に子宮移植は実施されているが、妊娠例はまだ報道されていない。一方、わが国ではサルによる移植実験が行われているだけでヒトには応用されていない。
子宮移植にあたっては手術手技が難しいこと、移植後免疫抑制剤を使用しなければならないこと、移植後拒絶反応があること、その免疫抑制剤の胎児に与える影響が不明であることなど、多くの問題点が未解決のままである。またドナーやレシピエントに対するリスク、更には出産のために臓器移植をすることが許されるかなどの倫理的問題も残る。
(2014年8月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)