子宮がなくても出産を希望する女性のために子宮移植を研究している慶應大などのグループが、子宮移植に関する研究会を立ち上げ、国内での実施に向けた指針案をまとめた。移植の適応は、生まれつき子宮のない女性やがんなどの病気で子宮を摘出した女性で、機能する卵巣を有していることが条件となる。
ドナーとしては姉妹や母親の他、性同一性障害で子宮摘出を望む人が考えられる。スウェーデンではヒトでの子宮移植が実施されているが、妊娠分娩の報告は未だない。手術手技や免疫拒絶などの医学的問題のみならずドナーやレシピエントの選択やリスクなどに関する倫理的な課題も多い。また妊娠が成立した場合の免疫抑制剤の胎児に及ぼす影響についても、問題は未解決である。
(2014年4月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)