文部科学省は、2024年度から直近3年連続で定員の8割を満たせなかった大学は、主に低所得世帯の学生を給付型奨学金などで支援する修学支援新制度の対象から、原則除外することにしています。就職率などが9割を超えれば、除外が猶予されるものの、収容定員の5割を切る学部が一つでもあれば、この猶予も受けられません。
定員を減らして入学者が減れば、学生納付金も減収となります。このため各大学は、どちらが経営へのダメージが小さいか検討しています。ペナルティーを受けないよう、あえて定員を減らす大学もあります。朝日新聞と河合塾の共同調査によれば、2000年と比べた学部定員について尋ねたところ、回答した474私大のうち122大学(26%)が減少したと答えています。
また9%(44大学)が今後5~10年の間に定員を減らす方向性を示し、さらに20%(96大学)が実施するか検討中と答えています。定員を減らす考えが多かったのは、入学定員が1千人未満の小規模私大で、44大学の9割近い38大学を占めています。
逆に立教大学や学習院大学、関西大学は増加を決め、上智大学や中央大学、近畿大学は、増加する方向で検討中と答えるなど、首都圏や関西の大規模大学には、定員を増やす考えの大学が少なくありません。
(2024年10月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)