実質賃金の低迷

 国際的に見ても日本の実質賃金は伸び悩んでいます。OECDによれば、1991~2024年に1人当たり実質賃金(ドル換算)は、米国や英国で1.5倍、ドイツやフランスで1.3倍に増えていますが、日本は横ばいです。

 30年以上にわたって十分に賃金を上げてこなかったことで個人消費が伸び悩み、内需を低迷させました。国内市場が成長しないため企業は設備や研究開発の投資を十分に増やさず、世界を先導するイノベーションを起こすことができませんでした。デフレは長期化し、低成長に陥りました。

 企業にはまだ賃上げの余地があります。財務省の2024年度の法人企業統計によれば、金融業・保険業を除く全産業の経常利益は114.7兆円と比較可能な1960年度以降で過去最大でしたが、利益の蓄積を示す内部留保も637.5兆円で過去最大を更新しています。企業は、業績が改善しても株主還元や内部留保を優先し、賃上げを後回しにしてきました。

 大手企業を中心に賃上げの流れは定着してきましたが、給料が上がった実感は薄く、物価高に賃金の伸びが追いつかない状況です。政府は、企業が成長した利益の配分を賃上げに回す方向に意思決定できるよう、経済を成長させるためのビジョンを示すことが必要です。

(2026年4月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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