わが国の国民医療費は膨張を続けている。2011年度における医療費総額は、38兆64億円で、国民1人あたりの医療費は30万円を突破した。主な要因は高齢化の進展と医療技術の高度化による医療費の上昇である。医療費は年齢とともに高くなることより、今後高齢化が進むにつれて、医療費はますます増大すると考えられる。
OECD調査結果によれば、日本人の1年間の診療回数は平均13.1回であり、欧米諸国に比して突出している。いつでも誰でも自由に受診できるようなわが国の医療制度は長所ではあるが、反面「はしご受診」や「コンビニ受診」といわれるような不要不急の受診が増加している。こうした受診を減らすことが医療費の抑制に繋がるものと考えられる。後発医薬品の使用、予防医療への取り組みなどとともに、受診回数を減らすような医療費の無駄を減らすことが大切である。
(2014年8月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)