総務省の発表によれば、使用目的がなく放置された空き家は385万戸で、5年前の調査から36万戸増えています。住宅総数の5.9%を占めています。放置空き家が10万戸増えると、日本全体で地価の下落により1.5兆円ほどの経済損失が生じます。
2015年に施行された空き家対策特別措置法は、危険な空き家を特定空き家に指定し、自治体が指導や勧告などで改善を促しています。従わない場合は最終的に解体もできます。倒壊の恐れがある危険な空き家の撤去が全国で地道に進んでいます。市区町村が解体した空き家は、2022年度までの8年間で600戸近くに上ります。
特措法の制定は、戸建ての空き家を中心として全国レベルでの対策を後押ししました。しかし、近年はマンションの空き家増加という新たな課題が浮上しています。現行法が自治体に与える解体の権限は、共同住宅の場合全室が空室となった物件に限られます。政府側の対応が求められています。
(2024年5月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)