教育立国を目指すために

下村文科大臣は、教育立国のグランドデザインとして2030年までに公的教育予算を10兆円増やし、大学などを含む全ての高等教育を無償化する構想を唱えている。それによれば、2020年までに予算を5兆円増額させて、幼少教育の無償化や保育士の増加とともに質の向上、低中所得世帯の高校授業料の無償化などを、2030年には大学など高等教育の無償化を図るものである。現在の文科省の単年度予算が約5兆円であることを考えると、夢物語のような数字である。

教育立国を目指し、大きな目標を設定することは大切である。教育費の負担が解消されれば、子どもをもうけることを断念しなければならない状況がなくなり、出生率が上昇する可能性は考えられる。現在の少子化の解消には教育支援も大切であるが、子育てしやすい雇用システムの確立や社会意識の醸成など教育以外の要素が大きい。教育費だけで10兆円もの増額は,

バランスを欠くし、財源の確保は極めて難しい。現実的なプランを早い段階で提示する必要がある。

(2014年7月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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