わが国でも新型出生前検査が始まったことにより、妊娠初期に染色体異常(21,18,13トリソミー)の診断ができるようになった。一方、体外受精で得られた胚から割球を取り出し、染色体の異常の有無を調べる着床前スクリーニングは、欧米などの多くの国で実施されている。しかしながら、日本産科婦人科学会では、「命の選別につながる」として着床前スクリーニングは実施を認めていない。
新型出生前診断が臨床研究として実施されているのに、着床前スクリーニングが許されないのは、矛盾しているとの意見が多く出始めている。そのため学会は着床前スクリーニングの是非について検討を開始し、臨床研究として科学的有効性を検証する予定である。
(2014年5月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)