今年の7月に開催された全国知事会議で、京都府知事は、「日本は死に至る病にかかっている」と危機感をあらわにした。2013年の合計特殊出生率は、1.43と微増しているものの、出生数は103万人を切り、戦後過去最低を記録した。人口維持に必要な水準2.07への道のりは、果てしなく遠い。現状のままでは2060年に9千万人を割り込む。そのため政府は6月下旬の骨太方針で、50年後に人口1億人を維持すると明記した。
事態が深刻なのは、都市部への人口の流出が続く地方の自治体である。日本創成会議は、出生を担う若年女性人口が10~40年に5割以上減少すると、出生率が回復しても消滅は免れないと指摘している。そのため、各地方自治体はさまざまな結婚支援、子育て支援策を講じている。保育料軽減、不妊治療費助成、労働環境の改善などを積極的に実施している自治体では、出生率の増加がみられるようになってきている。少子化の根底には、妊娠・出産をためらわせる要因が存在する。これらを解決しなければ、女性は子どもを生みたいと思わないであろう。
(わが国の少子化を考える:吉村泰典)
(吉村 やすのり)