厚生労働省の公表によれば、所定内と所定外を合わせた総実労働時間は、1990年時点では年平均2,064時間、月平均172時間でしたが、30年余りたった2024年時点だと、年平均1,643時間、月平均で136.9時間と2割減っています。背景にあるのはパート社員の増加です。パートは実数も比率も右肩上がりで、比率は1990年の12%が2024年は30%台に増加しています。
労働時間が減った最大の要因は、正社員から時短のパート社員への置き換わりです。残業時間の上限が法定化した2019年以降は、正社員とパートのいずれも労働時間の減り幅が大きくなっています。海外に比べても日本の労働時間は短くなっています。OECDによると、日本は1990年から2024年にかけて20%減ったのに対し、米国は同じ間に4%の減少にとどまっています。2024年に比べれば、米国の方が日本より1割ほど長い時間働いています。
働く時間が短くても効率良く高い生産性で働いていれば問題はありません。しかし、効率の落ち込みも日本は深刻です。時間あたり労働生産性は、米国の4位に対し、日本は年々順位を落とし28位とG7で最下位です。長時間労働に戻るのではなく、生成AIなど技術革新を取り込む必要があります。
日本の労働時間が1990年と変わらなかった場合、1人当たりの実質GDPは、2023年までに1.68倍と米国並みに伸びを見せていたと推測されています。実際は1.3倍にとどまり米欧を大きく下回っています。生産性を伴わないまま労働時間が減ると経済力が低下してしまいます。労働時間や勤続年数だけで考課はせず、職務内容を明確にするジョブ型の普及も必要になります。働ける時間を延ばすより、働きたい環境をつくることが大切かもしれません。

(2026年1月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





