総務省の住民基本台帳に基づく人口の推移をみると、都道府県で唯一、東京は人口が増え続けています。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれば、2040年の1,451万人をピークに、2045年は1,448万人、2050年は1,440万人と減少します。市区町村別では明暗が鮮明となります。2025年の人口が5年前より減ったのは、東京23区のうち江戸川、目黒のみでしたが、2050年は新宿、練馬、世田谷など13区となります。中央や千代田は増加が続くものの伸びは鈍化します。推計通りなら公共交通網だけでなく地価や税収に影響が出る可能性があります。
人口流入と地価の動向は一定の関係があります。転入超過率が高い東京都区部や大阪市、福岡市などは、地価の上昇率が他の都市より大きくなっています。住宅や商業関連の需要が拡大すると地価が上がりやすく、東京の人口が減れば地価に下落圧力がかかることになります。
都が徴収する固定資産税は公示地価が算定の目安となります。不動産価格が下がれば税収に影響し、人口減が続くと都や市区町村に収める住民税も先細ります。総務省が東京都と他の都道府県との1人当たりの税収額の差を調べたところ、最低の長崎県と2.3倍の差があります。こうした税収をもとに都は第1子の保育料の無償化などの施策を打ち出してきましたが、住民還元はしにくくなるかもしれません。
ビジネスや行政の中心地としてヒト・モノ・カネを集め、日本全体をけん引してきた東京の息切れは、地方自治体の先行きにも影響を及ぼします。東京と周辺の企業が経済成長を支え、そこからの税収を交付税や補助金というかたちで回すことにより、地方が成り立ってきた側面があります。東京を当てにできなくなったら、地方の自給率と自立度が試されることになります。
(2026年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







