厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、通院しながら働いている人は2022年に2,326万人に上っています。がんや脳卒中、高血圧症、糖尿病など病気は様々です。働き手全体の41%を占め、2004年の29%から上昇しています。病気になりがちな中高年が職場で増えてきたことが背景にあります。2004年と2022年を比べると、60歳代後半の労働力人口の割合は34%から52%に上昇しています。
厚生労働省が2022年に行った労働安全衛生調査によれば、体調に合わせて柔軟な労働時間としたり、相談窓口を明確にしたりして治療と仕事の両立支援に取り組む企業は59%にとどまっています。従業員1,000人以上の企業は97%に上る一方、10~29人は55%と、規模が小さくなるほど対応が遅れています。職場の支援体制が整っていないことが、社員の離職につながるケースもあります。
国は、4月から改正労働施策総合推進法に基づき、相談体制の整備など病気の治療と仕事の両立支援に取り組むよう企業に努力義務を課します。生涯に2人に1人ががんになっており、健康を損なうリスクはどの働き手にもあります。人手が不足する中、社員が治療のために働けなくなれば、経営にとってダメージは大きく、企業は両立支援の取り組みを危機管理上の課題と位置づけるべきです。

(2026年2月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)





