父子関係について考える-2-

最高裁は昨年12月、性同一性障害のため性別変更で婚姻したカップルが第三者の精子提供により設けた子について、血縁関係はなくても嫡出推定が適用されるとの判断を下した。これも血縁関係より法的な関係を重視した判決である。この判断により、子どもは法律上の父親を得ることができた。今回の裁判とともに、最高裁は法の大原則を示した。さまざまな裁判で法の解釈が異なることはあってはならないことを考えると、今回の父子関係が元夫との間に定立するという判断は妥当であるとも考えられる。

最終的な目的は、子どもの幸せや福祉の確保である。現在、子どもは母親と血縁上の父親と親子関係を築いているが、今回の判決でもう1人の法的な父親を持つことになる。わが国においては、親子関係を調べる目的で比較的安易にDNA鑑定がなされる。年齢的に自らの意志を確認できない段階で、DNA検査で子どもの将来を決めることには大いなる躊躇を覚える。親子鑑定の遺伝子検査には、欧米ではさまざまな法の規制がかけられている。血縁の鑑定が商業化されることで、安易に鑑定を利用するケースも増えている。子どもの立場や生活状況に応じた解決が図られるような法制度を早急に考えるべきである。

(吉村 やすのり)

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