高血圧、脂質異常症、糖尿病の3疾患は、これまで特定疾患療養管理料という報酬が適用されていました。今回の診療報酬の見直しで、これら3疾患は特定疾患療養管理料の適用外となりました。その上で新たに生活習慣病管理料2を創設し、療養計画書の作成と本人の署名を算定の条件とし、請求も月1回までとしました。患者側から見れば、質の高い治療や月ごとの医療費の抑制が期待できます。
背景にあるのは、医療費の適正化です。高齢化などで医療費は右肩上がりです。診療報酬見直しでは、常に価格引き下げが求められます。今回は、医療従事者の賃上げにあてるとして、報酬の本体部分を0.88%引き上げています。財源の一部を捻出するため、生活習慣病を中心とした報酬を見直すことにより、0.25%分引き下げることとなりました。
報酬が引き下げられると、患者の負担が軽くなる一方で、医療機関から見れば収入減になります。内科系の診療所の経営が悪化されています。全国保険団体連合会の試算によれば、1医療機関あたり月額18.6万円、年間223万円の減収となる見込みです。僅かの自己負担額の軽減ですが、のべ約2,500万人いるとされる三大疾患は、報酬全体に与える影響は大きいと思われます。
(2024年8月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)