国立健康危機管理研究機構の報告によれば、全国の医療機関から報告された激しいせきが続く百日ぜきの今年の累計患者数が、速報値で計5万2,490人に達しました。現在の集計法となった2018年以降で、5万人を超えるのは初めてです。2024年までで最多だった2019年の計1万6,845人の3倍以上となっています。
今月14~20日の報告数は、前週から226人増え、3,908人でした。1週間当たりでの最多を5週連続で更新し、2024年の1年間の累計である4,054人に迫る勢いです。感染拡大が止まらず、異例の事態となっています。飛沫や患者との接触で感染が広がり、患者は10代以下の子供が中心となっています。
百日ぜきは、百日ぜき菌が原因の感染症で、風邪症状から始まり、徐々にせきが激しくなります。乳児は重症化しやすく、肺炎や脳症を併発して死亡することもあります。5種混合ワクチンが有効で、生後2カ月から接種可能です。厚生労働省や専門家は、速やかな接種を勧めています。

(2025年7月30日 東京新聞)
(吉村 やすのり)