2019年には、サービス残業やブラック企業などの長時間労働が問題化し、働き方を見直そうということになり、残業時間の規制が強化されました。上限は原則月45時間、年360時間で、事情があっても年720時間を超えてはいけません。しかし、人手不足が深刻になったこともあり、会社によっては業績に悪影響も出ており、行き過ぎた働き方改革を修正しようという動きを働きたい改革と呼ぶようになりました。
厚生労働省が2023年に行った調査によれば、残業時間を今より増やしたい、やや増やしたいとする回答は合わせて10.9%でした。その理由は残業代を増やしたいが断トツです。働き手が本当に望んでいるのは長時間労働ではなく、残業しなくても稼げる高賃金のように思えます。自己啓発や会社の業績に貢献するために、バリバリ働きたいと考える働きたくても働けない人がいないわけではありません。
国の規制改革推進会議にスタートアップ企業の業界団体が参加し、労働時間上限規制の適用除外などを求めました。事業の急成長や技術革新を目指すスタートアップ企業は、時に濃密な働き方が必要になることもあります。一律の規制は成長を阻害することにつながるかもしれません。
就業者1人当たりの年間平均実労働時間は以前より減りました。これは、パートなど短時間労働者が増えた要因もあり、週49時間以上働く長時間就業者の比率はいまだG7で最多です。根源的な解決策は、業務改善や生産性向上など人材戦略の見直しです。人材対策としては、①省力化、②育成、③多様性が必要となります。無駄な業務を徹底的に省き、社員の学ぶ意欲を刺激して能力向上を図り、女性やシニア、外国人など多様な担い手を呼び込むことが大切です。

(2025年12月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







