睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に何度も呼吸が止まるなどして低酸素状態になる病気です。診断には、睡眠時の呼吸数を測定する必要があり、1泊2日で検査入院するケースが多くなっています。この検査入院は、多くの生保の医療保険で入院一時金の支払い対象となります。このため、契約者が複数の保険に加入し、検査入院した上で、給付金を申請するケースが多くなっています。
入院一時金は医療保険などにつけることができ、入院すると一括で5万~30万円ほどが得られます。契約者が多額の給付金を得ようと、不要な検査入院を受けるケースが頻発しています。保険制度を悪用するモラルリスクを招いているとして、支払いを制限する社も出てきています。
問題の背景には、入院一時金そのものがモラルリスクを引き起こしやすい商品だという事情があります。新型コロナ禍では、契約者がコロナに発症している自覚症状を持ちながら、それを告げずに保険に加入、給付金をもらう行為が横行しました。自宅療養などのみなし入院も支払い対象としていたことも背景にあります。
(2024年11月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)