政府・与党は、企業の研究開発を支援する政策減税を400億~500億円縮小する方向である。研究費の一定割合を法人税額から差し引ける上限を今の30%から25%に引き下げ、法人税減の代替財源の一部に充てることにしている。研究開発減税は主に3種類ある。研究開発費総額の8~10%(中小企業は12%)を法人税額から差し引く「総額型」、研究開発費を増やした企業の法人税額を減税する「増加型」、売上高の10%を超える研究費の一部を排除する「高水準型」がある。「総額型」が大半の3690億円を占めており、今回は総額型の税額控除の上限を30%から25%に引き下げることにしている。
研究開発減税とは、企業が研究開発への投資を増やすような背中を押すために、税で優遇制度である。医薬品などの研究開発は国際競争が激しくなっており、日本企業の力を強める狙いがある。研究開発減税を利用する企業は、多額の研究開発費をかける製薬など化学工業、自動車、機械製造業が全体の5割を超えている。研究開発面での国際競争力への影響を懸念する声に配慮し、新たな優遇措置も用意している。例えば、大学や国の試験研究機関との共同研究や委託研究に積極的な企業への減税規模を拡大するも一例である。
(2014年12月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)