大変恥ずかしい話ですが、私は50歳になるまで35年間喫煙をしていました。それも1日60~80本吸うというヘビースモーカーでした。しかもハイライト、マルボロ、ショートホープといったニコチン、タール成分の高い通常の愛煙家が吸えない煙草を好んでおりました。家族や周囲の方々より禁煙を強く勧められましたが、頑なに喫煙を続けていました。自ら3~4回禁煙を試みましたが、3日坊主で断念することばかりでした。50歳前後になると自分自身お身体の健康を考えるようになり禁煙する際には、煙草は身体に悪いのでやめようと思って禁煙を試みていました。1~2日は続くのですが、意志が弱いこともあり直ぐに挫折していました。
ある時、極度の精神的なストレスを経験し、血圧が急激に上昇しました。ドクターストップがかかりましたが、それでも高血圧のために禁煙しようとは思いませんでした。しかし、血圧上昇の原因となったストレスがあまりに強く、その事件が解決するまでは禁煙をしようと決断しました。それは正しく願掛けでした。健康のために禁煙をするのではなく、事件の解決を願っての煙草断ちだったのです。2~3か月は飴をしゃぶったり、ガムを噛んだりしましたが、ほとんど抵抗なく禁煙することができました。禁煙の結果、事件も無事解決しました。家族もニコチン中毒だから禁煙外来を勧めましたが、全く行きませんでした。事件が解決した頃には、もう一度煙草を吸いたいとは思いませんでした。
喫煙は習慣であり、アディクション(常用癖)です。強い意志がないと止めることはできませんが、身体の健康のために止めるのではなく、願望を叶えるためにそれまでは煙草を吸わないでいるというくらいの気持ちで試みてはいかがでしょうか。私の場合はニコチンガムやパッチも必要ありませんでした。願掛けは初詣の時にお願いするようなことで良いと思います。いずれにしても、禁煙すると意気込まないことが大切です。
禁煙して良かったことは、周囲の人々に迷惑をかけなくなったこと、人前で愛煙家ですか?と聞かれ、恥ずかしい思いをしなくても良くなったことです。良くなかったことは体重が増え、酒量が増えたことです。煙草を吸っていれば、その時はお酒を飲めないからです。禁煙すると手持ち無沙汰になり、ついつい飲み過ぎてしまいます。肝機能が低下し、糖尿病傾向がみられるようになってきました。しかし、禁煙してわかったことは本当に人に迷惑をかけていたなと思ったことです。愛煙家は嫌煙家のことを嫌いますが、自らが周囲に迷惑をかけていることを自覚すべきです。もし生まれ変わることがあったとしても、決して煙草は吸いません。
(吉村 やすのり)