厚生労働省の調査によれば、労働者の約5人に1人が過去3年間に、上司らから、ひどい暴言や過大な要求といったパワーハラスメントを受けています。企業側への調査でも、ハラスメントに関する相談の中で最も多い内容はパワハラでした。
最近注目されているのは、顧客や取引先から理不尽な要求を受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)です。妊娠や出産、育児を理由に嫌がらせや不当な扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)もあります。
ハラスメントは、働く人の意欲や健康を損ない業務停滞を招きます。ストレスなどのため精神疾患を発症して労災認定された人は、2024年度に1,055人と過去最多を更新しています。原因別では、上司などからのパワハラが最多の224人で、仕事内容・仕事量の大きな変化が119人、カスハラが108人、セクハラが105人と続いています。
法律でパワハラやセクハラの防止対策が企業に義務付けられています。相談窓口を周知し、再発防止策を講じる必要があります。社員がカスハラに遭わないよう対応方針を作るなどの対策も、2026年10月に義務化される予定です。

(2025年11月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)





