長崎大学らの研究チームは、患者の細胞を使って肝臓を再生させる臨床研究を始めたと発表しています。患者の細胞を薬物を使って肝臓や胆管の細胞に分化する前駆細胞に変化させる技術を活用し、肝硬変などの進行性の肝疾患の治療を目指します。
肝硬変は肝臓が線維化し、徐々に肝臓の機能が低下していく進行性の病気です。現状は肝臓を移植するしか根本的な治療方法がありません。しかし肝臓の臓器提供者が不足しているため、国内では年間2,000人近くが移植手術を受けられず亡くなっています。
研究チームは、患者から採取した肝細胞に3種類の薬剤を加えて培養することによって、肝臓細胞や胆管細胞に分化する前駆細胞に変化させました。この前駆細胞はCLiP(クリップ)細胞と呼ばれ、様々な細胞に分化するiPS細胞と異なり、遺伝子の改変などを必要としません。また患者自身の細胞を使用するため、拒絶反応が起きる可能性も低いとされています。今回の臨床研究では、肝硬変の患者3人にクリップ細胞を移植して安全性などを評価します。

(2026年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





