国立がん研究センターによれば、日本で1年間に新たに膵臓がんと診断されるのは約4万4,000人で、男女ほぼ同数です。初期には症状が出にくく、進行すると腹痛や食欲不振、お腹が張る感じの他、腰や背中の痛みなどが生じます。急に糖尿病が発症・悪化して見つかることもあります。
早期のステージ1で発見された場合、5年生存率は5割程度とされています。半数近くの患者は最も進行したステージ4の状態で見つかり、手術で切除できないことがほとんどです。切除できないと生存率は大きく下がるため、膵臓がん全体の5年生存率は1割程度にとどまっています。がん全体では、早期発見が増えるなどして5年生存率は7割に高まっていますが、膵臓がんは肺がんの47.5%や肝臓がんの38.6%と比べても著しく低率です。
厚生労働省の人口動態統計によると、膵臓がんは2023年の死亡数が約4万人で10年前より1万人ほど増加しています。胃がんを上回り、肺がん、大腸がんに続いて3番目に死亡数が多いがんになっています。
膵臓がんの兆候を血液で見つける新たな技術が、2024年2月に診断補助の検査キットとして公的保険の対象となりました。APOA2は、およそ40年ぶりとなる新しいバイオマーカーで、従来のCA19-9と組み合わせると、ステージ1~2の膵臓がんを約7割の感度で判定できる結果が出ています。
(2025年1月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)