厚生労働省は薬の臨床治験を巡る不正な臨床研究が多発していることを受け、臨床研究を対象とする規制を強化する検討会を開始する。これまで臨床研究には厳しい規制がなく、性善説に立ち、企業の倫理に委ねられていることが多い。不正の背景には大学研究である医師と製薬会社のもたれ合いの構図がある。
医師が研究成果を論文にすることにより、企業は自社製品の権威付けを求める。医師側は企業が寄付金を受け取ることが当然のことのように行われている。現在、大学には多くの企業からの寄付講座が開かれている。企業は大学に寄付をする場合には、何らかの見返りを期待するであろう。大学の研究者も企業も利益相互への意識が低く、教育を徹底すべきであると考えられる。研究資金は全て競争的研究費であることが望ましい。
(2014年4月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)