若い女性にとって痩せ状態は体の不調につながります。痩せは筋肉量低下や月経異常、糖尿病など様々な健康リスクをはらんでいます。食生活の改善のほか、親世代を含めて痩せ状態を過度に評価する価値観も見直し、痩せすぎを防ぐ必要があります。
痩せは、18歳以上で体重(㎏)を身長(m)の二乗で割った体格指数(BMI)が18.5を下回った場合です。身長約158㎝の場合、約46.2㎏を下回ると痩せとなります。WHOによると、日本は痩せの女性が16.5%で、先進国では突出して高くなっています。痩せである女性でも痩せ願望が強く、半数ちかくが痩せたいと思っています。体形が普通の約700人では痩せ願望が9割弱に上っています。
国民健康・栄養調査によれば、痩せていると体の不調を招きやすくなります。食事量や栄養素の不足に運動不足が重なると、体脂肪率が上昇して筋肉量が減ります。その結果、インスリンの分泌量が減るなどして糖尿病のリスクを高めます。卵巣の機能も低下し、無月経となります。骨粗しょう症手前の骨減少症も引き起こします。年齢を重ねると、サルコペニアや、さらに進んで全身の身体機能が衰えるフレイルに陥り、要介護状態になりやすくなります。
20代女性では、摂取エネルギーが平均1,600㎉で、全世代の平均を100㎉ほど下回っています。たんぱく質などの栄養の摂取も十分でありません。痩せの若年女性の7割超は、食習慣の改善の意思がないと回答しています。
外食やコンビニで食事をする人も、工夫次第で栄養を補えます。主食のおにぎりだけでなく、ゆで卵や野菜ジュースを追加することや、コンソメスープを具だくさんの野菜スープにすることにより改善できます。20代女性の約3割が健康食品を摂取し、うち約7割がビタミンの補助目的dサプリメント類を飲んでいます。ビタミンが足りないと思うなら、野菜や果物などを1皿増やすことがお勧めです。
(2024年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)