蚊からの感染症

デング熱の感染拡大は、海外で感染した人が帰国してウィルスがもちこまれ、その感染者が国内で蚊に刺されて、ウィルスが拡散したことによる。こうした輸入症例は、年200件程報告されている。こうした蚊が媒介する感染症は10種類程あり、今回のような国内感染が起きる可能性は以前より懸念されていた。日本人の旅行先が多様化すると同時に、海外からの旅行者も増えてきていることもあり、感染症が持ち込まれる可能性は高まってきている。

今回の最初の国内感染を診療した医師は、デング熱感染者の診療経験があったという。国内でのこうした感染症の専門医は少なく、発見は偶然に左右されることが多い。今後は国内感染を早期に発見できるような医師の養成と同時に、医学生における教育を充実させるべきである。専門性の高い教育が優先され、学生に対するこうした内科診断学の教育が、近年欠如しているように思われる。そして多くの人が集まる緑の多い公園に行く時には、蚊に刺されないようにすることが大切である。

(吉村 やすのり)

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