日本総合研究所の試算によれば、2024年の四半期ごとのデータをもとにした訪日外国人による免税物品購入額は、年換算で1兆円を上回る規模になっています。中国や台湾、韓国からの旅行者の利用が多くを占めています。それに伴い、インバウンド向けの免税制度を悪用する例が相次いでいるため、政府は対策を強化します。商品購入時に消費税を払い、出国時に国外への持ち出しを確認してから払い戻すリファンド型を導入し、安く買った商品が日本国内で転売されるのを防ぎます。
当面は不正利用を見抜く防波堤の役割は免税店が担うことになります。免税店では非居住者であることの確認や免税要件の説明、購入記録の保存といった手続きが求められています。税関では、2022年4月~2023年3月に免税購入金額が1億円以上だった374人のうち、57人を検査したところ、うち56人で商品の持ち出しが確認できず、消費税の納付を求めたものの計18.5億円の滞納が生じています。消費税負担の公平性を確保するため、制度の見直しが必要となっています。
(2024年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)