認知症の増加と検査の簡素化

 高齢化が進み日本で認知症は重大な課題です。厚生労働省の研究班の調査によれば、性別や年齢別における患者の比率が今後も一定と仮定した場合、認知症患者は2050年に2022年比3割増の587万人まで増えると推計されています。認知症の一歩手前にあたる軽度認知障害(MCI)も、1割増の631万人と見込まれています。

 認知症は脳が委縮して徐々に認知機能が失われるアルツハイマー型が全体の7割を占めています。血液検査では、認知症の原因物質となるアミロイドβやタウというたんぱく質の量や比率から、脳へのアミロイドの蓄積度合いを判定します。そのうえで、患者に合った治療薬の投与方針などを決めています。

 現在、認知症の検査として推奨されている手法は2つあります。一つが陽電子放射断層撮影装置(PET)で、専用の大型機械で脳の画像を撮影して判定します。ただ検査用の薬剤が患者の脳に回るまで時間がかかるほか、検査費用が10万円以上かかるケースもあります。もう一つが脳や脊髄の周りに満たされている脳脊髄液を使う方法です。局所麻酔を打ち、腰椎に針を刺して採取します。しかし、特定の疾患を持つ患者には使えなかったり、感染症のリスクが生じたりします。価格はPETよりも安いのですが、保険適用外の場合は数万円かかります。

 これら2つの検査に代わる手法として血液検査が注目されています。患者の身体的負担を抑えられるほか、料金も比較的安価です。国内で先行するシスメックスに続き、富士レビオがこのほど承認申請しています。大型の撮影装置などを使う従来の検査に比べて簡易・安価に診断でき、病気の早期発見や進行防止につながると期待されています。

(2026年1月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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