認知症の増加

厚生労働省の推計によれば、2060年には、65歳以上の人のうち645万人(17.7%)が認知症となり、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の人も632万人(17.4%)まで増加します。認知症とMCIをあわせると、65歳以上のおよそ3人に1人が認知機能にかかわる症状が出ることになります。今年施行された認知症基本法は、認知症の人が尊厳を保って暮らせる共生社会の実現を掲げています。

軽度認知障害(MCI)は、記憶力の低下などの症状があっても、家事や買い物などの日常生活では支障が出ていない状態を言います。認知症となる手前で、その後に生活機能障害が出て、認知症に移行する場合もあれば、運動や食事などの生活習慣の見直しといった認知症予防の取り組みで、健常な状態に戻る可能性もあります。MCIの人のうち、5~15%程度の人が1年で認知症に移行する一方、16~41%程度の人は1年で健常な状態になるとされています。認知症をきたす原因として最も多いアルツハイマー病の治療薬であるレカネマブが、昨年12月に保険適用となり、MCIや軽度認知症の人を対象に一部の医療機関で治療が始められています。
今後は未婚率の上昇などで一人暮らしの高齢者が急増します。独居の高齢者は生活環境が損なわれやすいため、認知症の症状が進行しやすいと考えられており、こうした高齢者への孤独・孤立防止対策が一層重要になります。

(2024年5月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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